2025年12月、衝撃のニュースが駆け巡りました。期待されていた『ブラウンダスト2』のSteam版リリースが突如中止。ウィッシュリスト20万件という圧倒的な期待を背負いながら、なぜ開発チームは「配信見送り」という苦渋の、そして誇り高い決断を下したのか。
本記事では、Valve社の規制背景から、Steam Deckでの動作方法、そしてファンを裏切らない「表現の自由」を守った戦略までを徹底分析します。
Steam版配信中止の衝撃|ウィッシュリスト20万件が消えた日
2025年12月、モバイル向け戦略RPG『ブラウンダスト2』のSteam版リリースが見送られるというニュースが界隈を揺るがしました。私が情報を追っていた中で、これほどウィッシュリストが集まっていたタイトルの直前キャンセルは異例の事態です。
リリース予定日のわずか数週間前、Steamのストアページが突如削除されました。多くのユーザーが「BANされたのではないか」と騒然とする中、開発チームが出した答えは「ゲームの核心的な方向性を守るための撤退」でした。
突如発表された「見送り」の公式声明を読み解く
開発チームは12月9日、正式にSteam版リリースの見送りを発表しました。公式声明によると、プラットフォームのポリシー要件との調整において、解決困難な問題が発生したといいます。
私がこの声明から読み取った重要なメッセージは、開発側が「表現規制に屈しなかった」という事実です。Valve側からは、特定の衣装や揺れ表現の修正を求められたと推測できます。しかし、開発チームはビジュアル表現というゲームの魂を削ってまで、Steamに掲載することを選びませんでした。
なぜ審査に落ちたのか|Steamとアニメ調ゲームの対立
今回の騒動は単なる一企業のトラブルではありません。近年、Steamを運営するValve社は、アニメ調のコンテンツに対して非常に厳しい目を向けています。
私が調査した範囲でも、フォトリアルな暴力表現は許容される一方で、アニメキャラクターの表現は「未成年に見える」という理由だけで理不尽な規制を受けるケースが散見されます。このダブルスタンダードとも言える審査基準が、多くの国産ゲームやアジア圏のデベロッパーを苦しめている現状があります。
決済会社による「影の規制」とは
Steamが表現規制を強める背景には、国際的なクレジットカード会社からの圧力があります。VisaやMastercardといった決済プロセッサーは、ブランド保護を名目にアダルトコンテンツへの決済停止をちらつかせます。
Valveとしても、決済手段を断たれるわけにはいきません。その結果、少しでもリスクのある表現を含むゲームに対して、過剰なほど慎重にならざるを得ないのです。私が考えるに、今回の件もこの「影の規制」が大きく影響しています。
Valveの不透明な審査基準と「ダブルスタンダード」
ユーザーや業界関係者が最も不満を抱いているのは、審査基準の一貫性のなさです。同様の表現を含む他タイトルが販売されているにも関わらず、『ブラウンダスト2』だけが弾かれるという状況が発生しています。
担当した審査官の主観によって合否が変わるという現状は、開発者にとって大きなリスクです。私がもし開発者の立場なら、基準が曖昧なプラットフォームにリソースを割くよりも、確実に届けられる独自ルートを選ぶでしょう。
それでもPCで遊びたい!|公式が用意した2つの代替ルート
Steam版がなくなったからといって、PCでのプレイを諦める必要はありません。NEOWIZは当初からPC展開を見据えており、Steam以外にも強力なプレイ環境を用意しています。
私が実際にPCでプレイする際に利用している環境を含め、現在利用できる2つの主要なルートを紹介します。それぞれの特徴を理解して、自分のPC環境に合った方を選んでください。
公式推奨「Google Play Games (Beta)」のメリットと落とし穴
現在、公式サイトで「PC版」として案内されているのがGoogle Play Games (Beta)です。これはGoogleが提供する公式のエミュレータで、セキュリティの高さが最大の魅力といえます。
モバイル版と同じGoogleアカウントでログインできるため、データ連携が非常にスムーズです。課金決済もGoogle Play経由で行えるため、トラブルの心配が少ないのが利点です。
高いシステム要件と「Hyper-V」の壁
Google Play Gamesには無視できないデメリットがあります。それはWindowsの仮想化技術である「Hyper-V」を必須とする点です。これ有効にすると、PCの動作が重くなる場合があります。
さらに厄介なのが、他のAndroidエミュレータ(BlueStacksやLDPlayerの旧バージョンなど)と競合して動かなくなる問題です。私が試した際も、既存のエミュレータ設定を見直す必要がありました。複数のスマホゲームをPCで遊んでいるヘビーユーザーには、導入のハードルが高いといえます。
一部の環境ではそもそもインストールできない
Windows Homeエディションの一部や、古いCPUを使用しているPCでは、そもそも要件を満たせずインストールできません。公式が推奨しているとはいえ、万人に開かれた門戸ではないのが現状です。
真の推奨ルート?「スタンドアロンクライアント」の導入法
実はGoogle Play Gamesとは別に、Windowsネイティブで動作する「スタンドアロンクライアント」が存在します。公式サイトのトップページからは見つけにくいですが、これこそが真の最適解といえるでしょう。
エミュレーションを介さないため動作が非常に軽量で、低スペックのPCでもサクサク動きます。私が普段プレイに使っているのもこちらのバージョンです。
公式サイトの隠しリンクとDiscord活用術
このクライアントのインストーラーは、公式Discordサーバーの告知チャンネルなどで配布されています。また、公式サイト内でも特定のページからダウンロードできます。
GoogleやSteamの審査を通していないため、表現規制の影響を受けません。開発者が本来見せたかった「そのまま」のビジュアルを楽しめるのが最大のメリットです。
自動更新の弱点と対策
スタンドアロン版には弱点もあります。ランチャー経由でのアップデートが不安定な場合があることです。更新に失敗したときは、インストーラーを再実行して上書きする必要があります。
私が遭遇したケースでは、大型アップデートの際に手動での再インストールが必要でした。少し手間はかかりますが、快適な動作と規制なしの環境には代えられません。
Steam Deckユーザーへの救済策|Lutrisを使った完全導入ガイド
今回のSteam版中止で最も困ったのは、携帯型ゲーミングPC「Steam Deck」のユーザーでしょう。SteamOSはLinuxベースであるため、Windows用のexeファイルをそのまま動かすには工夫がいります。
私が検証した結果、最も安定して動作する方法を見つけました。少し手順は多いですが、設定さえ済ませれば快適にプレイできます。
なぜSteam DeckではGoogle Play Gamesが動かないのか
Steam DeckでGoogle Play Games版を使おうとしても動きません。理由は単純で、必須要件である「Hyper-V」がLinux環境では利用できないからです。
したがって、Steam Deckユーザーが選ぶべき道は「スタンドアロンクライアント」一択となります。これをLinux上で動かすためのツールを使います。
決定版|Lutris + Proton GEで快適プレイ環境を作る
ここからは具体的な導入手順を解説します。使うツールは「Lutris」です。デスクトップモードに切り替えて作業を行ってください。
以下の手順通りに進めれば、Steam Deckでも『ブラウンダスト2』が起動します。私が実際にセットアップした際の手順を整理しました。
必須コンポーネント「Webview2」の導入を忘れるな
Lutrisでインストーラーを指定してインストールした後、すぐに起動してはいけません。「Winetricks」という機能を使って、必要なコンポーネントを追加します。
ここで絶対に忘れてはならないのが「webview2」です。これがないと、GoogleやAppleでのログイン画面が表示されず、ゲームを始められません。私がセットアップした際も、ここで一度つまずきました。合わせて「vcredist」関連も入れておくと安心です。
オープニングムービーを再生させるGE-Proton設定
標準のProtonでは、映像コーデックの問題でオープニングムービーが再生されないことがあります。これを解決するために、「Lutris-GE-Proton」を使用します。
Lutrisの設定画面でRunner optionsを開き、Wine versionをGE-Protonの最新版に指定してください。これで映像も音声も完璧に再生されます。最後に「Add to Steam」を行えば、ゲームモードから直接起動できるようになります。
開発チームの英断と2026年への展望
今回のSteam版中止は、一見するとネガティブなニュースに見えます。しかし、私はこれを開発チームによる「英断」だと捉えています。目先の利益よりも大切なものを守ったからです。
2026年に向けて、この決断がどのような意味を持つのか考察します。
「表現の自由」を守ったことによるファンとの絆
ウィッシュリスト20万件を捨てることは、ビジネスとして大きな痛手です。しかし、無理に規制に合わせてリリースしていたらどうなっていたでしょうか。コアファンは「検閲された」と失望し、離れていったはずです。
「表現の自由」を守り抜いたことで、コミュニティには開発者への強い信頼が生まれました。私がSNSを見る限り、ユーザーの反応は好意的です。「よくやった」「ついていく」という声が溢れています。この信頼こそが、長くサービスを続けるための基盤となります。
次なる一手は?|Epic Games StoreやDMM展開の可能性
Steamという巨大市場を失った今、NEOWIZは次の手を模索しています。公式声明でも「代替プラットフォーム」への言及がありました。
私が予想する有力候補は、Epic Games StoreやDMM GAMESです。特にDMMは日本国内で実績があり、表現規制も緩やかです。グローバル展開の課題はありますが、親和性は高いといえます。
まとめ|Steamがダメなら自力で遊べばいい
Steam版の配信中止は残念でしたが、それは『ブラウンダスト2』が終わることを意味しません。むしろ、プラットフォームの理不尽な規制に縛られない、自由なコンテンツ提供が約束されたといえます。
PCで遊ぶ方法はあります。Google Play Gamesを使うもよし、スタンドアロン版を導入するもよし。Steam Deckユーザーも、ひと手間かければ快適な環境が手に入ります。

